三次予防について

今回は、職場のメンタルヘルスにおける三次予防についてのお話です。三次予防とは、病気のために後遺症が残ったり、休職を余儀なくされた人たちが、もう一度社会復帰をめざしたり、再発を予防するための取り組みです。

 

プロ野球の選手でたとえると、けがをして復帰してくる選手が再発しないように、無理のない復帰のスケジュールを考えたり、トレーナーが練習や試合後のケアを行ったりする試みです。折角けがを治して復帰したのに、無理をして再発してしまったのでは、今までの我慢が水の泡です。本人は当然つらいでしょうし、チームにとっても戦力ダウンです。早くチームに貢献したい気持ちから、ついつい無理をしてしまう選手がいますが、再発を防ぐことが一番の貢献なのです。

 

ではメンタルヘルスの不調者が復帰する際は、プロ野球と同じような取り組みがされているでしょうか?実は今まであまり三次予防的な取り組みは、されてこなかったところがあります。主治医は「体調が良ければ復帰していい」という判断をします。そして職場は「復帰したからには100%頑張ってくれ」といいます。するとあまりリハビリ的な取り組みをしないまま復帰をして、無理を重ねていくうちに再発する人がたくさんいました。

 

体調が良いといっても、それは「なんのストレスもない状態だから大丈夫」なのか、「少々のストレスがあっても大丈夫」なのかを見極める必要があります。また復帰を受け入れる側としては、休み明けの人に対して、体調を確認しながら徐々に仕事を増やしていく必要があります。そして復帰する人も、焦る気持ちを抑えながら、復帰のスケジュールをこなすことが必要です。本人、職場、主治医が一体となってはじめて三次予防は成り立つのです。