世の中にはたくさんのリラックス方法が紹介されています。自分にとって気分が良いものであれば、きっとそれはいいものです。できれば長く続けることができる、手軽にどこでもできる方法を探してみましょう。
ではどうすれば、リラックスして力を抜くことができるでしょうか?これは簡単なようで案外難しいものです。例えば次のような場面を想像してください。一打逆転の場面でピンチヒッターに指名された野球少年がいたとします。当然彼は緊張しています。おそらく自分がどれくらい緊張しているのかもわからなくなっています。そこに心無い声援が浴びせられます。「肩に力が入っている。緊張しないでリラックス。」このようにアドバイスされると、彼は自分の肩に意識が向かいます。肩を意識すると、肩に力がもっと入ります。そして力を抜こうという思いとは反対にもっと緊張してしまい、目の前のゲームに集中できなくなります。こうなると結果は無残です。
この少年の場合、何が問題かというと、無意識に力が入っている状態であるというところです。そしてその上に、体のある部分に意識が集中し、より力が入ってしまったことです。このように緊張が強くなりすぎると、いろいろとマイナス面が出てきます。まず体が硬くなり、力が出なくなります。筋肉というのは、緩んだ状態から縮む状態に変わることで、力が発揮されます。緊張して筋肉が縮んだままでは、力は入っていても作用しません。それに加えて、力が入っている間はどんどん疲労がたまります。スポーツでリラックスする必要があるというのは、筋肉の力が最大限発揮され、またそれを持続するために必要なのです。
ではこの少年には、どうアドバイスすればいいでしょうか?リラックスにはコツがあります。それは力を抜こうとする前に、一度力を入れてみることです。すると自分で力を入れている実感がでてきます。力を入れていると意識できると、力を抜くという動作が簡単になります。具体的には、肩を一度耳に近づけるように挙げてみます。そして肩に力が入っているのを確認してから、肩を降ろします。もちろんこれはほかの体の筋肉にも使えます。顔がこわばっているように感じたら、一度顔にぎゅっと力を入れて目を閉じてみましょう。数秒してから、顔を緩めてみてください。これを普段から練習しておくと本番でも使えると思います。こうすればリラックスできるという方法を持っていることだけで、ストレスに強くなれます。