今回は、復職に際して上司が注意しておきたい点を説明します。
復職に際して、「完璧な状態」を求める上司がいます。休職期間中は、実際の業務から離れているのですから、仕事を思い出すには時間がかかります。また仕事というストレスに耐える状態を作るには、現場復帰後3-6か月くらいは必要です。完璧な状態を復職早期に求められると、復職対象者は焦りが強くなります。その結果、かえって再発を引き起こすことになります。そもそも完璧な状態で仕事をしている人が、どれくらいいるでしょうか?
復職 当初から仕事が多すぎるのは、よくありません。しかし、仕事がないのはもっとつらい状態です。たいていの復職対象者は、復職当初の勤務軽減を申し訳ないと感じています。仕事をしているときは、まだ作業に気持ちがいくのでいいのですが、暇な時間があると、つい忙しそうにしている周囲が目に入ります。「自分のせいで忙しいのではないか」などと自分を責める人もいます。非常に難しい調整ではありますが、本人の体調に合わせた仕事量を与えることが必要で、こまめにコミュニケーションをとる必要があります。
よく質問されることとして、病名を説明すべきかどうかという問題があります。結論を言うと、病名を説明する必要はないと思われます。病名の説明はプライバシーにかかわる問題であること、そしてその病名をどれだけの人が正しく理解しているかが不透明であることが理由です。説明すべきは、病気からの回復途中であり、約3か月は勤務軽減が必要であることや、復職当初は疲れやすく、仕事が終わった後の飲食への誘いは控えたほうがいいことなどです。病名を説明するのではなく、状態を説明すると考えた方がいいと思います。