うつ病の症状は、①オーバーヒートした状態②エネルギー不足③今の状態を受け入れることができない苦しみと説明しました。これらの症状を良くするためには、何が必要でしょうか?
まずはオーバーヒートした状態を良くするためには、クールダウンが必要です。クールダウンするわけですから、基本的には休養ということになります。エネルギー不足の解消も、エネルギーの消費を抑え、エネルギーの回復をさせるわけですから、基本的には休養ということになります。
ただ問題は、「今の状態を受け入れることができない苦しみ」です。この症状があるがために、うつ病の人は、素直に休養を受け入れることができません。別の言い方をすると、今の状態を受け入れることができると、「今は休養するしかない」と納得し、本当の意味での休養ができます。しかしよくあるのは、休職はしているが、休んでいる自分を責め、頭の中はずっと仕事のことを考えている状態です。これでは本当の意味での休養になっていません。それどころか、職場から離れているため、ますます悪い考えを膨らませたり、不安になったりして、どんどんオーバーヒートさせ、エネルギーを消耗させてしまいます。
このように考えると、休養することを受け入れる気持ちになることが大切だとわかります。ただ受け入れることは、それ程簡単ではありません。第三者から見ると、「頑張ろうにも頑張れないのだから、ゆっくりするしかない」とわかるのですが、当事者にとっては、「頑張れないのは、自分が怠けているからではないか」という考えが離れません。自分がやらなくてはならないレベル、理想像、他人との比較、昔の栄光などに縛られてしまうと、到底今のできない自分を許すことができません。許さないということは、「休むことも許さない」ということです。
では許すために何が必要かというと、「とりあえず今は仕方ない」とあきらめることです。自分が求めているレベルは、今は無理だとあきらめ、次に備えて休養することを受け入れることです。とても難しい事ですが、これができると気持ちが楽になり、回復に向かっていきます。