三次予防の第一歩として、復帰できる状態かどうかを見極めることが大切です。主治医の診断書だけで復職と決定してしまうのは危険です。
本人の状態が、「なんのストレスもない状態だから大丈夫」なのか、「少々のストレスがあっても大丈夫」なのかを見極める必要があります。ではどのような基準が必要でしょうか。厚労省から「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」が公表されています。
その中に、業務遂行能力についての次のような評価の基準が挙げられているので、その項目を参考に基準を考えていきましょう。
(a) 適切な睡眠覚醒リズムの有無
会社に行く時と同じように、就寝・起床ができるかをチェックしてください。
(b) 昼間の眠気の有無
昼寝を毎日しているような人がいます。薬の副作用で眠気が出ているのならば、薬の調整も必要です。
(c) 注意力・集中力の程度
本や新聞などの活字を読めるかどうかを確認してください。1時間程度続けて読めていればいいでしょう。調子が悪いと、なかなか理解できず、何度も同じ文章を読み返してしまいます。
(d) 安全な通勤の可否
通勤経路が長い場合など、体力を使うことがあります。またパニック障害の人は、電車に乗ることが可能なのか(特に混雑した時間帯)を確認する必要があります。
(e) 業務遂行に必要な作業(読書やコンピュータ作業、軽度の運動等)の実施状況と、作業による疲労の回復具合
上記の読書以外に、体力面の確認が必要です。1時間程度歩行しても大丈夫かどうかを確認してください。疲労については、活動した翌日に回復できていればいいでしょう。
(f) その他ホームワーク等の遂行状況など
企業によっては、復職に際してホームワーク(新聞記事をまとめるなど)を課す場合があります。
企業としては、復職に際して上記のような条件を満たしているかどうかを確認する必要があります。それは同時に、復職する人にとっては、上記のような条件を満たすことを目指してリハビリしていけばいいということでもあります。