うつ病の症状③

今回は、うつ病の症状のひとつであるエネルギー不足を説明します。

 

大抵のうつ病の人は、長期間ストレスが多い中を頑張ってきています。それはずっと緊張状態が続いているということであり、同時にリラックスする時間が少なくということです。緊張している時間はエネルギーを消費し、リラックスする時間にエネルギーは回復します。

 

そう考えると、消費ばかりが多くて回復の時間が少ないので、だんだんエネルギーが減ってきます。するとある段階で、「これ以上エネルギーを使ってほしくない」という危険信号がでてきます。それは、「疲れ」「だるさ」「意欲低下」「集中できない」といった症状です。

 

本来であれば、これらの症状が出現したところで、休んでリラックスし、エネルギーを回復させるのが自然です。おそらく少なくなったエネルギーを振り絞り、また頑張れることができるでしょう。ただ長くは続きません。前にもましてエネルギーは少なくなり、危険信号である症状も強くなってしまうからです。どこかでこれ以上は無理だという段階になり、「動こうにも動けない」状態になります。

 

エネルギー不足の症状は、様々な行動面での問題となって現れてきます。特に行動を始める「第一歩」が出てこないので、朝起き上がれず、遅刻や欠勤といった問題となります。その前段階としては、休日に外出する意欲が出てこないといったことが見られます。その他には、集中力が低下した結果みられる問題があります。普段ならありえないようなミスをしたり、大事な約束をうっかり忘れたりといったことが度々あるときは、集中力低下が疑われます。

 

物忘れがあるので認知症を疑い病院を受診される方がいますが、中にはうつ病の人がいます。集中力が低下した時の特徴として、同時にいくつかのことに気を使うことができなくなり、このような物忘れやミスが出現します。

 

このように意欲低下に伴う問題は、周囲の人に気づかれることがあります。本人は自分さえがんばればなんとかなると思って、病気ではないと考え受診しないことがあります。そのような時でも、周囲の人がいつもと違うと感じる事で、受診につなげることができるかもしれません。