パニック障害①

パニック障害という病名は、最近ではすっかり市民権を得ています。しかし、「自分はパニック障害です」という人の話を聴くと、困ったような場面で頭が真っ白になるという状態をパニック障害だと思っている人もあり、十分な理解には至っていないようです。そこで今回はパニック障害についてお話しします。

 

パニック障害は一般的に、「突然理由もなく、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作を起こし、そのために生活に支障が出ている状態」(厚生労働省ホームページ、こころの病気を知るより抜粋)と説明されています。ではもう少し詳しく、成り立ちをみてみましょう。

 

パニック障害には通常2つの段階があります。まず突然理由がないのに(この理由というのは、これといった体の病気がないのにおこるという意味です)、死の恐怖を感じるほどの症状が起こったという最初の段階です。よくある例としては、電車に乗っているときに、胸の痛みや動悸、息苦しいといった症状が起こり、下車しようにもできないような追い込まれた状況です。そのため、このまま死ぬのではないかという恐怖が長く続き、やっとの思いで下車をして救急病院を受診します。それなのに病院では、検査で異常がなく、ストレスのせいだといわれたりします。このように死を感じさせるほどの状況でありながら、自分ではどうしようもないという状況が第1段階です。しかしこれだけでは、パニック障害ではありません。

 

次の段階は、同じようなことがまた起きてしまうのではないかという不安(予期不安)が強いときにおこります。その時の恐怖感が強いので、パニック発作を起こした場面と似た状況や、逃げられないと感じる場所(特に電車や飛行機などの乗り物が多い)を避けるようになります。もしパニック発作が1回起きても、もう起らないとか、起こっても何とかなると思えたら、パニック障害にはなりません。でも電車に乗っていてパニックになった人が、電車に乗るのが怖くなると(発作が起きても途中で降りることができないから)、たちまち行動範囲が狭くなります。友人との旅行に行けなくなったり、通勤や出張が困難になったりします。そしてそのような場面を避けてしまうがために、ますます恐怖心が高まってしまい、電車に乗るという日常的にできていた行動が、どんどん非日常的になっていくと、恐怖を伴う特別な行動となってしまいます。このような状態が、パニック障害です。

 

では次回は、このようなパニック障害について、どのように考えていけばいいのかについて、お話しします。