健康を維持するのに、食事は大切な要素です。その役割は、エネルギーの確保であり、体の成長や維持、体の活動を円滑にすることなどです。そのために、「タンパク質」「脂質」「糖質」「ミネラル」「ビタミン」といった栄養素をバランスよくとることが大事です。現代は豊かになり、飢えという問題が起こることはまずありませんが、逆に過食や偏食といった問題が見られています。その結果、生活習慣病を引き起こします。
このように食事の内容は大切ですが、それと同じく、食事をどのように取っているかも大切です。仕事が忙しい人は、睡眠と食事の時間を削る傾向になります。たとえば、「仕事をしながら昼食をとる」「時間をかけられないので、簡単なものを流し込む」「家に帰るのが遅いので、夜中に食べて寝る」といったようなことが、よく見られます。本来食事は、「楽しむ」ものです。そのためには、食事をするときは他のことをしない、ゆっくりよく噛む、味をしっかり感じるということに、取り組んではどうでしょうか。
まずは、食事中に他のことをしているとどうなるか考えてみます。例えば仕事をしていると、体は仕事モードになっています。この体の状態は、闘うのに有利な体の状態を作ってしまうので、消化器の活動は本来お休みになっています(目の前の敵と戦うのに、食事をする必要はないので、胃腸の活動は二の次になる)。そのため、このような仕事モードで食事をすることは、効率がよくありません。食事をする際は、リラックスした状態で食べる方がいいのです。
次に良く噛むことが大切です。噛むことで消化酵素を含んだ唾液がよくでます。また噛むリズムは、リラックスしてストレス解消にもいいと言われています。皆さんは、何回くらい噛んで飲み込みますか?一度観察してみましょう。おそらく、驚くほど少ないと思います。30回くらい噛むことを実験してください。普段噛みなれていない人にとっては、とても新鮮な体験だと思います。
最後に味を感じる事です。せっかくのおいしい食事も、味に集中していなければ感じる事ができません。おいしいものを食べると、満足感を感じる事ができます。その満足感は、気持ちのエネルギーとなります。味で満足が得られないと、量で満足しようとします。すると腹八分では我慢できずに食べ過ぎてしまいます。その結果は、生活習慣病です。
このように、リラックスして、よく噛み、味わうことに取り組んでみましょう。そうすると、消化活動がスムーズで効率よくなるばかりでなく、精神的な満足感が増え、ストレスにも強くなります。