今まで心療内科で使う漢方薬を、12種類紹介してきました。まだまだ使っている漢方薬はあるのですが、今回で漢方薬のご紹介は中断します。
私自身実際に漢方薬を使うようになったのは、ここ6、7年です。それまでは、「心の病気に漢方薬なんか効果があるはずがない」と思っていました(何の根拠もありません)。しかし漢方薬の講演などを聞いて使い始めたところ、思った以上の効果がありました。それどころか、漢方薬だからこそよくなった患者さんと出会いました。長年抗うつ薬などを使用してまったくよくならない方が、漢方薬を使いながら抗うつ薬を減らしていき、今では漢方薬だけで復職した人もいます。
またうつ病には至らないもののストレスが強く体調を崩している人には、漢方薬だけで対処できることが多々あります。この場合のいい点は、最終的に薬をやめることができるという点です。薬を飲まなくなり、通院しなくていいというのは、患者さんにとってはとても大きなメリットです。その上副作用が非常に少なく(ゼロではありませんが)、他の向精神薬と比べて、お勧めしやすい薬です。安心して処方ができるというのは、服用される患者さんには当然ですが、処方する医師にとっても大きな利点です。
だからとりあえず漢方薬を試してみようと、診察でもお伝えしています。もちろん漢方だけでうまくいかない時は、西洋薬も併用していいと思います。でもその時でも、西洋薬を少なくしたり、副作用を防いだりするのに、漢方薬は有用です。
これからも漢方薬について研鑽し、少しでもお役に立てればと思っております。そのためには診察の中で、いろいろと細かい体調を質問することもあると思いますが、よろしくお願い申し上げます。 尚、来月からは新シリーズとして、「職場で役立つメンタルヘルス(毎月第3月曜日)」を始める予定です。