プラス思考の落とし穴

世間では一般的に、プラス思考が良くてマイナス思考が悪いと信じられています。そのため悩んでいる人には、「悪い事ばかり考えずに、プラス思考した方がいい」とアドバイスされることがよくあります。でもこのアドバイスは、大抵うまくいきません。なぜでしょうか?

 

プラス思考とは、いい結果が起こると考えて行動することと、世間では思われています。そうすれば、いい結果が起こりやすく、気分も明るくなると信じられています。確かにそういう面はあります。希望を持って努力をしていると、急に解決策が見つかったりすることはよくあります。早くあきらめてしまうと、解決策は見つからなかったかもしれません。でもプラス思考をしようとすることが、うまくいかない場合があります。

 

それは、「いい出来事が起こる」と信じる事ができない場合です。何度も失敗し、自信を無くし、落ち込んでいるような場合は、「プラス思考をしなさい」と言われても、いい結果が起こることが想像できず、悪い結果ばかり考えてしまします(いわゆるマイナス思考)。そのような時は、「プラス思考しなくてはいけない」と自分に言い聞かせても、マイナス思考にとらわれてしまいます。そして、「プラス思考ができない自分」を責めてしまうのです。これではかえって悪循環です。

 

一方マイナス思考は、本当にマイナスなのでしょうか?確かに、マイナス思考に支配されすぎて、全く動けなくなるとよくありません。しかし、悪い結果を想像するのは、大切なことです。特に危機管理という面では、最悪に備える必要があるので、最悪を想像する必要があります。「きっと何とかなる」「そんなこと起こらないよ」と、プラス思考で危機管理すると、事故が起こった時に対処できません(震災による原子力発電所の事故がそうでした)。

 

だからマイナス思考が浮かんでもいいのです。そうならないために、今できる事は何かと考えておくことは、必要なことなのです。そうすれば、最悪のことが起きたとしても、「少しは対処できる」はずです。もし今できる事がない場合は、何もせずエネルギーを温存しましょう。いざ何かしようという時のために、じっと力を蓄えて時を待つことも、一つの作戦です。

 

まとめると、プラス思考が良くてマイナス思考が悪いわけではありません。両極端にならならないことと、今とりあえずできる事に目を向けていくことが大切です。