不安について①

不安や恐怖で悩まされている人は、たくさんいます。「この不安さえなければ、●●●できるのに、不安が強くてできません」というセリフは、よく聞かれる言葉です。しかしそんなに不安は、邪魔者なのでしょうか?

 

ではここで不安がゼロの状態を考えてみましょう。不安がゼロって理想だと思いますか?とんでもありません。不安ゼロは、とても危険な状態です。一つ例を挙げると、「酔っ払い」です。酔っぱらってしまうと、極端な場合、道で寝転がる事さえ怖くなくなります。言ってはいけないことを言ったり、知らない人と喧嘩をしてしまったりすることもあります。このように不安がゼロになってしまうと、とても危険な状態になるのです。

 

不安を減らす薬(抗不安薬。マイナートランキライザーともいう)をたくさん服用する人がいますが、この様な人は不安を無くそうとしすぎる傾向があります。その結果、酔っ払いに近い危険な状態になってしまうのです。そして酔っ払いと同じく、気分が高揚していて 危険に気付かず、むしろ調子がいいと感じていることさえあります。そのため危険性を周囲が説明しても、聞く耳を持ってくれません。

 

そもそも不安や恐怖は、なぜ起こるのでしょうか?それはおそらく、以前に危険(もしくは嫌悪感)を感じた場所(または状況)に、近づいたからだと思われます。そして危険が近くにあるというサインとして不安があると、その危険に対処することができます。危険が近くにあるので、そのことに注意を払うことができます(不意打ちを避けることができます)。場合によっては逃げるという方法もあるし、逃げないで対策を立てるということもできます。それはどちらが得かを考えて選べばいい事です。 このように不安があることは、本来とても自然な事で役に立つことなのです。

 

不安を無くそうとするのではなく、まずは不安を受け止め認めようとする姿勢が大切です。その姿勢を持つことができると、不安になっても慌てふためくことはありません。不安の存在を認めることができると、かえって冷静になれるはずです。しかし現実には、不安に振り回され、うまくいかないこともあります。そのような時はどうすればいいのか、次の機会に考えていきます。