抑肝散(よくかんさん)
ストレスがかかると、心身に様々な影響がでます。精神面への影響として、余裕がなくなり、いらいらして怒りっぽくなるという症状があります。この様な症状があると、問題を解決するどころか、むしろこじらせてしまい、ますますストレスがかかるという悪循環を引き起こします。そのため怒りへの対処は、とても大切です。
また怒りが長く続くと様々な身体症状も引き起こします。代表的な症状として頭痛や眼痛があります。肩こりや眼の周囲の筋肉がぴくぴくすると訴える人もいます。怒っている時は自然と体に力が入り、筋肉の緊張が長く続き、これらの症状を引き起こします。
睡眠にも悪影響があります。怒りがあると、どうしてもそのことが頭から離れず、寝付きが悪くなったり、途中で目が何度も覚めることがあります。このように睡眠が悪くなると、疲れた体を回復させることができず、どんどん余力がなくなっていきます。
今回ご紹介する抑肝散は、このようないらいらして怒りっぽいという症状が出ている方によく使われます。月経前緊張症(PMS)で怒りっぽくなる人がいますが、そのような場合にも効果が期待できます。
小児の夜泣きや癇癪、チックといった症状にも適応があります。時によっては子育てをしている母親も一緒に抑肝散を服用する事(母子同服)もあります。
子供のイライラが母親に影響を与え、またイライラした母親が余裕のない対応をして子供に悪影響を与えるという悪循環を防ぐためです。
最後に、今抑肝散は老人医療で脚光を浴びています。認知症の場合、物忘れに伴い様々な行動面での異常(BPSD:不眠、徘徊、興奮など)が出現するのですが、この症状に効果があるといわれています。